こんにちは。
2019年11月25日に株式会社オージーケーカブト(以下OGK)がJIS認証規格を取り消されたとして、
少しこのヘルメットの規格について気になったので、色々調べた結果をまとめてみました。
バイク用のヘルメットには、いくつかの規格があることをご存知の方は多くいるかと思いますが、
それぞれの規格について詳しく説明できる人、となると実はあまり多くないんじゃないかと思います。
よくヘルメットの話になると
「JIS規格のないヘルメットは公道を走るときには使用してはいけない」
とか
「公道を走るときに使うヘルメットは規格がなくてもいい」
はたまた
「公道を走るのに規格は必要だけど違反にはならない」
などなど人によって言うことが違うなんてことはザラにあります。
結局、何を信じたらいいんだよ・・
となってしまうのも無理ありません。
というわけで法律の観点から、「バイクで公道を走るときに使うヘルメットについて規格は必要なのか」について調べてみました。
バイクに乗るときのヘルメット着用に関する法律
以下の文章は道路交通法第71条から抜粋したものです。
第七十一条 車両等の運転者は、次に掲げる事項を守らなければならない。
(中略)
第七十一条の四 大型自動二輪車又は普通自動二輪車の運転者は、乗車用ヘルメットをかぶらないで大型自動二輪車若しくは普通自動二輪車を運転し、又は乗車用ヘルメットをかぶらない者を乗車させて大型自動二輪車若しくは普通自動二輪車を運転してはならない。
2 原動機付自転車の運転者は、乗車用ヘルメットをかぶらないで原動機付自転車を運転してはならない。
(中略)
7 第一項及び第二項の乗車用ヘルメットの基準は、内閣府令で定める。
つまるところ、「バイクとか原付に乗るときはヘルメットは着用しないとダメだよ。」ということですね。
ここで「乗車用ヘルメット」というワードが出てきてますね。
乗車用ヘルメットとは、いったい何ですかというのは上記青文字で書かれている「内閣府令」というところで定義されているようです。
その内閣府令も引用してきました。
(乗車用ヘルメット)
第九条の五 法第七十一条の四第一項及び第二項の乗車用ヘルメットの基準は、次の各号に定めるとおりとする。一 左右、上下の視野が十分とれること。
二 風圧によりひさしが垂れて視野を妨げることのない構造であること。
三 著しく聴力を損ねない構造であること。
四 衝撃吸収性があり、かつ、帽体が耐貫通性を有すること。
五 衝撃により容易に脱げないように固定できるあごひもを有すること。
六 重量が二キログラム以下であること。
七 人体を傷つけるおそれがある構造でないこと。
こんな感じです。
気が付きましたか? 規格については書かれていないんです。
極論言ってしまえば以下のような工事用ヘルメットでも問題はないということなんです。
ヘルメットの規格はどんなものがあるのか
ヘルメットの規格は世界でいくつかあるので軽くご紹介します。
JIS規格
「JIS規格」というのは「日本工業規格(Japanese Industrial Standards)」の略語で、日本の標準規格です。
簡単に言うと、「日本で作る産業製品の安全性はこのルールに従って確保してね」といった感じです。
今回OGKが認証の取り消しを受けてしまったのがこの規格です。
SNELL規格
アメリカのSNELL(スネル)財団という団体が規定するヘルメット規格で、世界で一番厳しい規格と言われています。
しかもこのSNELL規格は約5年ごとに規格が見直され、しかも、その度に厳しくなっているそうです。
ヘルメットの大手メーカーである「Arai」や「SHOEI」のヘルメットを使用している方ならよくご存知だと思います。
名前の由来はピート・スネルというレーサーで、1956年にレース中事故をした際に
被っていたヘルメットが割れてしまいその役割を果たさなかったため亡くなってしまいました。
その後スネルの友人達がSNELL記念財団という非営利組織を作り、安全なヘルメットであるかを判断する規格を作ったことが始まりだそうです。
ECE規格
国連欧州経済委員会 「Economic Commission for Europe」 が作成した規格です。
ECEはテストするヘルメットの範囲が広いことが特徴で、
他の規格では行われない、あごの部分の衝撃テストや縁石にぶつかったことを想定したテストを義務付けているようです。
Arai規格
Araiのヘルメットを使用している方はよくご存知だと思いますが
国内の大手ヘルメットメーカー「Arai」が、独自に定めている規格です。
認定取得の難易度的にはSNELL規格と同等、
またはそれを上回ると言われておりAraiの安全性に対するこだわりがよくわかる規格です。
MFJ規格
JIS規格を取得した製品で、財団法人日本モーターサイクルスポーツ協会「Motorcycle Federation of Japan」
ここの公認を受けていないヘルメットではMFJが主催する競技には出場することができません。
「自分はレースに出ることはないから関係ない」と思う方もいると思いますが、
逆に言うとレースに出場できるほどの規格ということなので、公道で使用する上でも安全性は高いと言えるので
ヘルメットを購入する際の一つの指標にしてみるのはありだと思います。
PSCマーク
こちらは規格とは少し異なったものですが、
JIS規格と似ていて、国が定める安全基準をクリアした製品に貼られるマークです。
注意していただきたいのは、
この記事の中で「規格がないヘルメットでも公道を走るとき使う分には問題ない」とお話ししましたが
この「PSCマークがないヘルメットは販売することができません」
そのため、基本的に国内で販売されているヘルメットにこのマークがついてないことはありません。
結局 規格は必要ないってこと?
法律上のお話だけで言えば、結局のところ公道を走る上では今回紹介したような規格は全て必須ではありません。
この記事内の法律に関するタイトルで紹介した「道路交通法第七十一条の四」と「内閣府令」に準拠したヘルメットであれば問題はないということです。
ただし、安全面に関するお話しとなると話は別です。
バイクや原付は、その特性上常に危険にさらされており、かつ事故を起こしてしまったときのダメージも測り知れません。
そのため、いくら法律で大丈夫とはいえ、ある程度安全性が保障されている規格付きのヘルメットを着用することを強くおすすめします。
まとめ
今回の要点は以下!
・ヘルメットの規格は、目的別に何種類かある。
・公道を走る際に使うヘルメットに規格は必須ではない。
・でも安全面から考えると規格があるヘルメットを使うべき。
・少なくとも「道路交通法第七十一条の四」と「内閣府令」に準拠してないヘルメットは公道使用不可!